初めての国際大会と特注GIS開発
- K-robot 広報担当
- 1月14日
- 読了時間: 3分
こんにちは。K-robotの広報担当です。今回は2023年に開催された国際ロードレース「マイナビ・ツール・ド・九州」に向けて取り組んだ、特注GIS(地理情報システム)の開発についてご紹介します。
特注GISが求められた理由

「マイナビ・ツール・ド・九州2023」の準備が始まったのは開催の約1年前の2022年のことです。海外チームの招待、ステージルートの決定、交通規制の計画、運営車両の手配、無線通信の整備、さらには駐車場の確保やスタート・フィニッシュブースの設営など、事務局様は多くのタスクを抱えた状態でした。
これらのタスクを効率的に進めるため、大会ルート等の運営計画を一元的に管理・共有できる仕組みが必要でした。その方法として浮上したのが地図情報システム(GIS)の導入です。しかし初めての国際大会運営という状況では市販サービスを一括導入する予算やノウハウがなく、また仕様書・設計書を作る余裕もありませんでした。
その中でK-robotが提案したのは、「必要な機能をゼロから作り上げ、組み合わせていく」という柔軟なアプローチでした。短期間で開発を進めるためにアジャイル的アプローチを採用し、Google Maps等のAPIを積極活用することで効率化を図りました。
開発の第一歩:ルート作成

開発の初期段階で課題となったのが、大会のルートの作成です。Google MapsのAPIにはルートナビゲーション機能が備わっており、ロードレースのルートも「簡単に作れるはず」と期待していました。しかしいざ実装してみるとうまくルート作成できません、道路交通法に準拠したAPIの仕様が障壁となりました。例えば、車両モードでは逆走や歩道走行はもちろん、未完成の道路も選べず、一方で歩行モードでは自動車専用道路を通ることができない、といった制約がありました。この問題に対して私たちは、「APIで大まかなルートを生成し、その後手動で補正する」という2段階入力方式を採用。この工夫により、理想的な大会ルートを作成することが可能になりました。
会場設計への応用

ルート作成が終わった後も、スタートやフィニッシュのブース設計、ピットエリアの配置など、多くの課題が残っていました。これらもアジャイル開発的アプローチの特性を活かし、逐次的に対応を進めていきました。特にGoogle MapsのAPIをフル活用した図形・アイコンの描画機能は、大会に関わる決定事項・課題を視覚的に共有することを可能にし、関係者間のスムーズな連携に大きく貢献しました。
このように「九州で初めての国際ロードレース」という未経験の領域に挑戦し、課題を乗り越えながら形にしていく過程は私たちにとっても貴重な経験となりました。
次回以降は、機能のひとつひとつにスポットを当ててご紹介してまいります。
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