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イノシシに襲われて、首の骨を折った社員がいる会社です。

  • K-robot 広報担当
  • 6月28日
  • 読了時間: 4分

K-robotの創業についての話をします。私たちはロボット・農機の遠隔制御システム、地図情報システムといった技術開発に軸足を置くテック系の会社ですが、根っこにあるのは少し切実で、素朴な動機です。


それは、「人が自然の中で安全に暮らすためには、仕組みが必要だ」という実感でした。

今日はその話を、少しだけさせてください。


ある日の出来事、山の中で起こったこと


少し驚かれるかもしれませんが、うちのスタッフの一人は、過去にイノシシに襲われて首の骨を折っています。その日は、罠にかかったイノシシを殺処分する作業中でした。


(詳細な描写は控えますが)命の危機を感じたイノシシが暴れ、罠から脱出し、人に襲いかかったのです。彼はイノシシと一緒に斜面を転げ落ち、首の骨を3ヶ所折りました


イノシシには罠を…とは言いますが、実体はそう簡単ではありません、屈強でタフなイノシシを「どう殺すか」という大変な問題があります。


それでも奇跡的に神経に損傷はなく、今も不自由なく元気に暮らしています。本当に、今振り返っても「よく助かったな」と思います。でもこの出来事が、K-robotの創業動機そのものになりました。


崩れゆく「人と自然の境界線」


近年、日本各地で野生動物による人的被害や農作物被害のニュースが増えています。特に上記のニュースには大変な衝撃を受けました。うちのスタッフもイノシシによって事故死していた可能性もあります、遠い場所の出来事に思えませんでした。


中山間地域では、イノシシやシカなどの生息域が、かつて人の手が入っていた里山にまで広がってきています。背景にあるのは、明らかです。


  • 高齢化と人口減少

  • 草刈りや農作業を担う人手不足

  • 地域オペレーションの分断・空洞化


人の手が入らない土地は、瞬く間に「野生」に還ります。そこはもう、畑ではなく獣の通り道になり、人の暮らしが脅かされてしまうのです。


「仕組み」がなければ、人は暮らせない


イノシシに畑を荒らされて、心が折れてしまった高齢の農家さんの話を聞いたことがあります。罠はかけられても、仕留める人がいない市や猟友会に頼んでも間に合わない。それが、今のリアルな限界集落の風景です。


地域から人口が減っていくこと自体は、止められません。けれど、そのまま自然とのバランスが崩れ続ければ、危険な地域が増えていく未来は避けられません。


私たちは、だからこそ考えます。


「地域の人が減っても、地域の人の暮らしを守るために、構造・システムを整えることが必要だ」と。


草刈りロボットが原点


K-robotが開発しているロボットやシステムは、単なる便利ツールではありません。中山間地域の自然と人間の境界を、再設計するための道具だと思っています。


・遠隔で動かせる草刈り機

・地図上で動線を確認できるGIS

・農作業や見回りを一部自動化するシステム


こうした技術は、「人が直接山に入らなくてもいい」時間と領域を生み出す効果をもたらします。それは、人間の安全と、自然への敬意のちょうどいいバランスを取り戻すための、余裕や余白となる空間・時間です。


理念はたぶん誰にも刺さらない


正直この理念は、

投資家には刺さらないでしょう。

ピッチコンテストでも通らないでしょう。

なぜならば、お金にならないテーマだからです。


そんなことは私たちも良くわかっているつもりです。

でもそれでいいと思っています。


この理念は、K-robotが何のために立ち上がったのかを示すにあります。利益のためではなく、人が人らしく暮らせる社会を、システムで守る。そう信じているからこそ、今日もロボットの制御コードを書き、地図のUIを磨いています。


K-robotはこの問題の解決に向けて研究開発・実装を進めます。そこからスピンオフしたソリューションによって会社を運営します。得た資金は研究開発に投じる、そんなスタンスです。(そんなに収入多くないですが)


「少しでも、ゆるやかな変化になるように」


人は減ります。高齢化は進みます。

でもそれを「諦め」で終わらせないために、K-robotは考え続けます。


急激な変化ではなく、ゆるやかな調整であってほしい。自然と人の距離を、ちょうどいいところに戻していくような構造を。


そのために、ロボットがあってもいい。デジタルな地図があってもいい。エンジニアが山奥でPCを開いていても、変じゃない時代になればいい。


私たちはそう願いながら、今日もシステムと向き合っています。

 
 
 

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